
人に「嫌いなもの」や「興味のないもの」があることはとても自然なことです。
その中でも、過去の失敗体験やトラウマなどからくる「やりたくない」という感情には、簡単にはくつがえせないほどの大きな力が働きます。
そのように根深い精神的要因から拒否の姿勢を取っている場合は専門的なアプローチが必要となるため、今回はその点について言及はいたしません。
私たちは、簡単な理由で「あれはやりたくない」と、物事に取り組む前から諦めてしまう人を見ると、とても残念に思えてなりません。
- どうせやってもできないから
- やってみたところで何も得られない
- 恥ずかしい思いをするに決まっている
- 理由がないからやらない
などなど、何かにつけて「やらなくて済む」ための口実を探すことが、まるで癖になってしまっているようにも見えます。

そんな方たちに対して、私たちは月並みですが「何事もやってみなくてはわからない」という言葉とともに、その背中をそっと押してあげることを続けてきました。
その経験上から言わせていただくと、言葉通り、やってみる前と後では全く態度が変わってしまう方がほとんどでした。
- 意外とできるものなんだな
- こんな気持ちになるなんて思いもよらなかった
- 割と周りを気にすることなくできた
- なんで今までやらなかったのかが不思議
といった具合に、180度意見が変わる様子を見ているのは喜ばしくもあり、ある意味面白いとさえ感じてしまいます。
ただ、やりたくないと言う人に実際にやってもらうためには、その人が「どうして嫌なのか?」を考えて、周囲が巧みにおすすめしていく必要があります。
もったいない!

例えば、親が子どもに何かスポーツをさせたいと思って「やってみない?」とすすめたとしましょう。
ここで子どもが「やりたくない」と言ったら「無理にやらせるのもよくないか」とすぐに諦めてしまう方も多いと思います。
そんな時は、まず子どもが嫌がっている理由が何なのかをよく考えてみてください。
仮に4つの例を挙げてみますので、そこから子どもの考えを読み解いてみましょう。
- 体を動かすことに抵抗を感じる理由がある(怪我・失敗体験など)
- 他のことに夢中でそんな気分ではない
- すすめられているものについてよくわからないだけ
- 単に反発しているだけ
まず、1番目の理由が考えられる場合は無理にすすめることはできませんね。
しかし、2~4番の理由に関して言えば、この程度の理由で断念してしまうのはあまり良い選択ではありません。
もし、そんな理由ですぐに断念してしまっていたら、子どもは「大した理由がなくともやりたくないことはやらなくてもいい」という認識を持ったまま成長していってしまうかもしれません。
そうなってしまわないように、親は子どもの思考をよく読んで、声をかけるタイミングだったり、誘い方を工夫する必要があります。
これは何も子どもに限った話ではありません。
私たち大人も、同じような理由でやりたくないことに手を出さないことが多々あると思います。
それは人生を損していると言っても過言ではないくらいもったいないことです。
もし、些細な理由から新しいことへの挑戦をためらっている人を見かけたら、その人の「嫌がる理由」を知り、うまく手引きをして興味を持てるようにしてあげてください。
スポーツセラピーを通して

地上のひかり(以下当施設)では、スポーツインストラクターである私の専売特許とも言える「スポーツセラピー」という心理療法を実施しています。
心理療法と言ってもそんなに難しいものではなく、ただ簡単な運動をレクリエーション形式で皆さんに楽しんでいただくというものです。
なぜ、数あるセラピーの中でも「スポーツ」を題材にしたセラピーを推しているのかということには、しっかりとした理由があります。
これまで説明してきたように、スポーツもなかなか「とっかかり」のようなものがないとやってみる機会がないものです。
そして、スポーツほど心と体に良い影響を与えてくれるものもありません。
やってみて後悔するようなことなど、ほぼ無いと言ってもいいでしょう。
最初は「やりたくない」と言っていた人が、仲間からの誘いや誰かの後押しによって成り行きで参加したとしても、それはきっと良いきっかけになります。
スポーツセラピーを体験することで、その人の本来もっている「積極性」や「自己肯定感」、いわゆる”自信の獲得”に間違いなくつながります。
そしてそこから、何事にも物怖じせずに「まずはやってみよう!」と思えるようになってもらえることこそ、私たちの狙いでもあります。
知らない世界を恐れずに一歩を踏み出せば、これからの人生がさらに充実したものになると信じて、これからも「やりたくない人」の背中を押し続けていきたいと思います。
コメントをお書きください