
私は現在、スポーツインストラクターという立場から、スポーツセラピーを通して様々な障害をもった方たちを見てきました。
スポーツにはその人の持っている性格や行動、症状などが自然と現れる特性があります。
それは時に、本人も自覚していないような不安であったり、恐怖のようなものだったりします。
初めてスポーツに触れる人は、最初の頃は楽しみ方がわからなかったり、仲間と一緒に体を動かすことに馴染めないことが多くあります。
それでも時間が経つにつれて笑顔が多くなり、楽しまれている姿を見て、私はそれが自信の獲得や個性(良さ、強み)の把握につながり、その人のためになっていると信じています。

私自身、学生時代から30年以上に渡って続けてきた硬式テニスを通じ、数多くの成績と成功体験を積み重ねてきた半面、大きな挫折も経験しました。
その挫折はスポーツではなく、就労の面ので味わうことになりました。
大学卒業後、アルバイトの経験もないまま正社員として就職し、当初は問題なく仕事をこなす日々を送っていました。
しかし、ある日を境に少しずつ心に違和感を覚えるようになりました。
任される仕事の量と負担が大きくなってきた頃、いつのまにかフタをしていた自分の気持ちに私の心と体は悲鳴をあげ、「辛い、逃げたい」という思いが強くなっていました。
そんな折に、私の転勤話があがったことがきっかけとなり、「自分のやりたい仕事を探そう」と転職を決意し、退職しました。
何をやりたいのかも分からないまま、次に就職したところも1年半ほどしかもたずに退職してしまいました。
その次に就職したところでは1年経たないうちに休みがちになり、20代も後半になる頃には社会とのギャップを大きく感じるようになり、精神疾患と診断されてしまいました。

このようにとても辛い経験をしたのち、パーソナリティ障害支援センター(現:パーソナリティ障害宿泊・心理支援センター)と出会いました。
そこで私は約2年間にわたってカウンセリングを受け続け、なんとか心を持ち直すことができました。
その間に「自分がやりたいことは何なのか?」という自問自答を繰り返した結果、「自分のこの経験を生かして、自分と同じような心の病、または障害を持っている方たちを救えないか?」という強い想いに気がつきました。
それがきっかけとなり、私はそのままパーソナリティ障害支援センターでスタッフとして働くことになりました。
今までの仕事はよく続いて1年半という苦い思い出でしたが、様々な方との出会いや、大変な時期に多くの人に支えられた甲斐もあって、15年以上という長い期間、職務を全うすることが叶い、私は自信を取り戻すことができました。

私のこの貴重な人生経験を、今も同じ悩みや障害に苦しんでいる方たちの助けとなるよう、「心理障害グループホーム・地上のひかり」の運営やスポーツを通して、これからも皆さんに伝え続けていこうと考えています。
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